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軸受電食の防止技術

分野
トライボロジー
キーワード
軸受、電食、発光、放電、粘度圧力係数、洗濯板、電食痕
工学部 知能機械工学科

准教授 砂原 賢治

研究概要

1. 研究の背景

 モータ(図1)は、軸受が電食すると、洗濯板状の電食痕(図2)が生じ、騒音を発し使えなくなる。この軸受の電食が省エネルギーを狙い広く普及しているインバータで駆動するモータの一部で起こっている。環境問題対応のため、電気自動車や風力発電(発電機=モータ)など、インバータと組合せて使われるモータは今後、急激に増加すると予測されており、電食メカニズム解明と対策提案が急務となっている。電気を通さないセラミック軸受を使えば電食を防止できるが、コストが高い、納期に時間がかかる、という問題があり適用が限定される。
 ※軸受電食とは:軸受内部の油膜部(図3)で放電が生じ、軸受の転走面が溶融損傷する現象

図1:モータ

図2:軸受電食の損傷例(玉)

図3:玉軸受の構造

2. 研究テーマの一例「耐電食潤滑剤の選定」

 図4に、油膜で生じる放電を発光現象として世界で初めて可視化することに成功した装置を示す(特許第5004219号)。ガラスディスク下面に被覆したITO膜(液晶パネルに使われる透明導電膜)により、電流を流しながら接触面の観察を可能にしている。図5に、発光を捉えた高速度カメラ画像を示す。油膜内部では、直径数µmに電流集中し、放電が起こっている。この装置を使って100ms間の発光回数を測定することで、発光しにくい(=電食しにくい)潤滑油を発見した。油の性状である粘度圧力係数が大きい潤滑油は電食しにくい(図6)。この潤滑油は、軸受電食を防止する廉価で画期的な方法として、期待されている。

図4:発光実験装置

図5:高速度カメラの画像

図6:5種油の発光回数

利点・特徴  油膜で生じる放電を可視化し直接的に現象を調べている。よって、実機の軸受で電食実験をすると1年かかる評価時間が、本手法だと100msと短時間で終了する。
応用分野 家庭用エアコン、鉄道車両、工場設備などインバータ駆動モータを使っている分野
特許情報 特許第5004219号(2012年登録)「油膜絶縁破壊評価装置」

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